◇ニューズレター6号 (抜粋)
1999年7月



目 次
退行催眠と前世療法の問題点―2
           ・ブライアン・ワイスの『前世療法』の問題点
守護霊との二人三脚の歩み
           ・私達と霊界人との関係 ―複数の背後霊と、一人の守護霊
           ・守護霊は、私達の生涯の“個人教師”
           ・守護霊は、私達の“霊的な兄・姉”
           ・守護霊としての辛い歩み―守護霊の苦労 
           ・地上人サイドから守護霊に近づく努力を !
≪≪皆さんのご質問にお答えして≫≫


ニューズレター



退行催眠と前世療法の問題点  2


ブライアン・ワイスの『前世療法』の問題点
 ブライアン・ワイスの『前世療法』はベストセラーとなり、多くの人々に「退行催
眠」の存在を知らせることになりました。しかし、この『前世療法』も、先号で述
べたイアン・スティーヴンソンやシルバーバーチの見解と照らし合わせてみる
と、あまりにも多くの問題点を抱えていることが明らかになります。

『前世療法』は人々に間違った知識を与え、幻想を事実のごとく信じ込ませ、大
きな弊害を作り出しています。

 次に、スティーヴンソンやシルバーバーチの退行催眠への指摘をもとにして、
『前世療法』を検討してみることにしましょう。

 まず第1の問題点として、霊的現象に対するブライアン・ワイス自身の理解力
の乏しさをあげなければなりません。ワイスは、キャサリンの前世回帰現象に出
会い、驚き混乱します。

そして、その現象を理解しようとして、スティーヴンソンの『前世を記憶する子ど
もたち』を読んだと言っています。しかし、その後のワイスの歩みを見る限り、彼
はスティーヴンソンの退行催眠に対する重要な指摘を全く理解できなかったと
言わざるを得ません。

どうしてワイスは、スティーヴンソンの問題点の指摘に気がつかなかったのでし
ょうか。スティーヴンソンが「退行催眠を何とか終息させたいと考えている」とま
で明言している内容が心に響かなかったのでしょうか……。

 ……第2の問題点は、ワイスが退行催眠によって明らかにしたという「前世の
人格」についてです。すでに何度も述べてきましたように、退行催眠によって思
い出したとされる前世の人格は、大半が潜在意識によるフィクションであったり
憑依霊の仕業なのです。

ワイスが『前世療法』の中で取り上げている前世の人格を注意深く分析してみる
と、それらが紛れもなく、潜在意識のフィクションや憑依現象であることが分かり
ます。ワイスの霊的現象に対する理解力不足と一方的な思い込みが、彼に、前
世像がフィクションであることを気づかせなかったのです。

 第3の問題点は、霊界の導きに対するワイスの無知さです。霊界サイドがキャ
サリンを通して働きかけてきたことの真意を、彼は最後まで理解することができ
ませんでした。スピリチュアリズムの観点から見れば、二人に対しての霊界側
からの意図は、はっきりとしています……。

 ……第4の問題点は、前世を思い出すことによって病気が治ったというワイス
の思い込みと錯覚です。ワイスの前世療法は、大きな意味でいえば心霊治療
の一つと考えられます。

病気が癒されたというケースは、催眠の過程で何らかの霊的作用が働いたこと
によるものと思われます。はっきり言えば、こうしたケースは退行催眠でなくと
も、他の方法でも治ったということです。

ワイスは、「患者の40%は、現在の問題を解決するためには、過去世まで遡る
必要がありました……こうした人々の病気は、何百年、何千年も昔の過去世で
起こったことに起因しているために、従来の今生だけに限定した退行催眠療法
を行っていては、どんなに優れたセラピストでも、彼らを完全な治癒に導くことは
できないでしょう」と述べています。ワイスのこのような発言は、彼が心霊治療に
対する知識が全くなかったことを示しています……。

 ……第5の問題点は、『前世療法A』(続編)や『ソウルメイト―魂の伴侶』
(続々編・PHP研究所)で述べられているソウルメイト(魂の兄弟)についての見
解です。ワイスは、退行催眠によって、前世の人間関係(親子、夫婦、師弟、主
従)が次世における身近な人間関係を結ぶことが明らかにされたと言っていま
す。

前世で夫婦であった二人は、次の地上人生で再び夫婦になったり、父と娘にな
ったり、あるいは兄と妹というような、近しい関係になったりすると言うのです。

また現在生じている人間関係のトラブル・不和などは、前世における人間関係
に原因があり、それが悪いカルマとして現在にもたらされた結果であると言って
います。

このような時空を超越して前世からの関係を結んでいる相手を、「ソウルメイト」
(魂の友)と呼んでいます……。

 ……しかし結論を言いますと、退行催眠でワイス達が言う「ソウルメイト」とい
った人間関係は現実には存在しません。ソウルメイトという特殊な関係に、これ
まで感動と夢と希望を見い出してきた方が大勢いらっしゃることはよく知ってい
ます。

ソウルメイトを新たな人生の指針・生きがいの根拠としてきた方も多くいらっしゃ
ることでしょう。しかし、「ソウルメイト」は事実ではないのです。

 退行催眠による前世像の大半が潜在意識によるフィクションであることはニュ
ーズレターの前号で述べましが、実はソウルメイトも、これと全く同じプロセスで
作り出されたものなのです。

催眠下という日常的意識を超越したところにおいて作り出された想像の産物
が、ソウルメイトなのです。退行催眠ブームの当初は、前世探しは個人レベル
でのフィクション・ストーリーに限られていましたが、やがて複数の人間を同時に
巻き込んで、肥大化したフィクション・ストーリーを作り上げるようになりました。
それが「ソウルメイト」です……。

……第6の問題点は、ワイスが『前世療法A』の最後で述べている、自分自身
で前世を思い出すための具体的な方法についてです。

そこでワイスが示している方法は、自己暗示によってフィクションの前世を作り
上げるテクニック以外の何物でもありません。わざわざ空想を作り上げ、前世と
思い込ませようとする明らかに間違った方法と言えます。

 以上、ワイスの「退行催眠」と「前世療法」についての問題点を明らかにしてき
ました。ワイスはキャサリンに対する治療が終了した時点で、退行催眠の間違
いに気づき、一切の退行催眠をストップすべきだったのです。

残念ながら、ワイスはその後も、霊界の意図からどんどん外れた方向へと歩み
続けています。彼の『前世療法』はベストセラーになり、多くの人々に受け入れ
られ、今や彼は、ニューエイジの旗手的存在と見なされています。

確かにワイスの行為は、多くの米国人の目を霊的世界に向けさせることになり
ました。このことは一面では貢献ともいえますが、皮肉なことに、それ以上の弊
害を生み出してしまいました……。


守 護 霊 と の 二 人 三 脚 の 歩 み
 
私達と霊界人との関係    複数の背後霊と、一人の守護霊
 霊界の人々と私達の関係は、ある面では地上の人間関係より重要なものとな
ります。霊界人は地上人に対して全ての点で指導的立場に立ちますが、それ
は具体的には、霊界人が私達地上人の「背後霊」「守護霊」として関与する、と
いうことです。
 
現在の地球にとっての最大の出来事とは、地球全体の霊的浄化を目的とした
大規模な高級霊界からの働きかけがなされているということです。そして、それ
は地上ではスピリチュアリズムによる霊的真理普及を通じて進められています。

地上の人間はスピリチュアリズムとの関係を持った時点から、霊界の高級霊団
の一員として、地上での霊的真理普及のために働くことになります。つまり私達
一人一人は、高級霊団が地上に働きかけるための足場・道具になったというこ
とです。

そうした私達が真理の前に謙虚になり、自分の利益を後回しにして霊的真理普
及の大事業に全てを捧げようとするなら、多くの霊界人の援助を引き寄せるよう
になります。

目的を同じくする多数の霊界人の働きかけを受け、「霊界の道具」として大きな
貢献をなすことができるようになります。このようにして、一人の地上人である私
と、複数の霊界の「背後霊」という関係が出来上がります……。

守護霊は、私達の生涯の“個人教師


 私達の誰もが、地上に生まれてから今日に至るまで、ずっと一人の「守護霊」
によって守り導かれてきました。今この時も、守護霊は常に私達に密着し、霊
的成長のために働きかけています。そしてこれからも、地上の人生を終えるま
で、その関係はずっと続くことになります。

 守護霊は、私達の性格・気質・前世の姿・霊的な因縁、さらには今後の人生行
路から寿命に至るまで、当人に関するありとあらゆることを知り尽くしています。

また、これまでの地上人生における隠れた行為についても、その一部始終を知
っています。その上で守護霊は、私達の魂の成長にとって最も適切な導きをし
てくれているのです。地上には、これほどまでに完璧な指導のできる教師は存
在しません……。

守護霊は、私達の“霊的な兄・姉”


 守護霊は教師として、私達の霊的指導に係わっているだけではありません。
広大な宇宙の中で“神の代身”として、私達をストレートに神の愛で愛してくれる
方でもあります。

その愛は、地上の肉親の献身的な愛よりも深く広いものです。自分の全てを与
えつくし、見返りを全く期待することのない、純粋な利他的愛なのです。これまで
の人生で私達を最高に愛してくれたのは、まさに「守護霊」であり、それは私達
一人一人にとっての「霊的な兄・姉」のような存在です。

 守護霊は、私達が落ち込んだ時には背後から励ましのエネルギーを注ぎ、く
じけそうになった時には勇気を与え、悲しい時・寂しい時には慰めを与えてくれ
ました。

間違った道を歩もうとしたり本能の誘惑に負けそうになった時には、必死にそ
れを押し止めようとしてくれました。疲れて動けなくなった時には、力を与え肉体
を癒してくれました。また試練の中で苦しむ私達に対しては、摂理にそって、可
能な限りの援助をしてくれました……。

守護霊としての辛い歩み    守護霊の苦労


 守護霊の霊界からの働きかけ・指導は、すべて霊的摂理にそって進められて
いきます。霊界サイドから地上人に対して、一方的になすべきことを強制するこ
とはできません。

どこまでも地上人自身が自分の判断に基づいて行動し、その結果として、魂を
成長させることができるように導いていくのです。これが人間に“自由意志”が
与えられていることの意義であり、霊的摂理にそった人間の成長ということで
す。

 そうした状況下での霊界から地上人への働きかけは、ただひたすら一方的に
与えるということになります。しかし、どれだけエネルギーを注いでも、尽くして
も、地上人の自覚がないところでは、よい結果を期待することはできません。

十与えて一つ、二十与えて一つの反応が得られるにすぎません。まさに忍耐だ
けが要求される働きかけとなります。普通の地上人ならとっくに諦めてしまうよう
なことが、これまで私達に対してずっと行われてきたのです。

守護霊は、決して私達を諦めたり見捨てたりすることなく導き続けてくれたので
す……。

地上人サイドから守護霊に近づく努力を !


 守護霊こそ、地上人にとっての最高の教師であり、誰よりも純粋な愛で愛して
くれる兄・姉であり、最高の恩人であり、信頼できる親友と言えます。そして私
達のために苦労を受け持ち、苦しんでくれる方なのです。

ゆえに私達が真っ先に感謝すべき相手は守護霊ということになります。「守護
霊」こそ、神に次いで感謝を捧げるべき存在なのです。

 何度も述べましたように、守護霊の働きかけは労多く空しいものとなります
が、その原因は、地上人が守護霊についての事実を全く知らないところにあり
ます。そのため、せっかくの守護霊の献身的行為も一方的なものに終わってし
まうのです。

 もし地上の人間が、こうした守護霊の実情を知り、その働きかけと導きを正し
く受け止めることができるようになれば、守護霊との関係は、ずっと強固で緊密
なものになります。

霊界と地上をつなぐ霊的エネルギーのパイプは、これまでとは比較にならない
ぐらいに強く太くなります。その結果、私達は守護霊からの導きや影響力を、も
っとストレートに得られるようになるのです。

守護霊の導きを無にするのは、すべて地上の人間サイドの問題なのです。私達
地上人が少しでも「守護霊」に近づく努力をするなら、霊的状況は格段に変化す
るようになるのは明らかです……。


 ……そのために私達がなすべき努力目標を、次に掲げることにします。

守護霊が自分の背後にいて、愛し導いてくれていることを絶えず思い起こす。
常に二人でいることを忘れない。
守護霊と通じやすい環境をつくる。
誰もいない静かなところで瞑想・祈りをする。
心を静め、霊の道具としての受容的姿勢をつくる。
何か分からないことがあったら、守護霊に尋ねる。
その答えは睡眠中に教えられ、日中において、それをインスピレーションとして
思い出すようになる。
また何らかの方法で気づかされる。
常に、神と守護霊に感謝する。
「これまで導いてくださって、ありがとうございます。今日一日の導き、ありがとう
ございます。」
そして何よりも大切なことは、日々、霊的真理にそう努力をすることです。つまり
心身を清らかに保ち、「良き霊界の道具」となれるよう努めることです。少しでも
自分の人生を「霊的真理普及」のために捧げようとすることです。


≪≪皆さんのご質問にお答えして≫≫



質問―1
 ある知り合いの方から「神の道具と言っても、人間はそう簡単にできるもので
はない。まず自分をしっかりつくり上げ、自分の行動・人間に責任を持てるように
なって、はじめて神の道具になれる。まず自分をつくり上げることが大切だ」と言
われたのですが……。

答え
 自分をつくり上げること、言い換えれば、自分を成長させることが大切であると
いう意見に異論を唱える人はいません。問題は、自分をつくり上げるにはどうす
べきか、自分を成長させるにはどのようにしたらよいのか、ということです。

 シルバーバーチは、「地球を天国にするのは理論的には一日でできることで
すが、現実にはそうはいかないので、こうした長い時間をかけた忍耐の歩みが
必要になっているのです」と述べています。

それと同じで、自分を成長させるということは理屈によって片付けられることで
はないのです。

 その方は、人間を成長させるには具体的にはどのような努力をすべきかを、し
っかり理解していらっしゃるのでしょうか。ご質問の中の言葉は、単なる綺麗事・
観念論のような感じがいたします。

おっしゃるように、人間は成長しなければならないというのは確かですが、それ
を成し遂げるには、具体的な方法と現実的な努力が必要とされるのです。

 人間の魂の成長における最大の障害・阻害要因は、魂が肉体に閉じ込めら
れているということです。つまり、日常的に「肉主霊従」という状態に陥っている
ということです。

そのために“魂の栄養素”(霊的栄養素)を取り入れることができなくなっている
のです。

 私達地上人が霊的に成長するには、霊が優位となるような状態、「霊主肉従」
という状態を保つことが最低限必要となります。宗教におけるさまざまな修行方
法は、実はこの一点  「霊主肉従」を保つためにあるのです。

 「道具意識」を持つように努めるということは、そうした「霊主肉従」の状態を効
果的に、しかも最も深い次元において実現する方法です。良き霊界の道具とな
ることを目指して努力することは、まさに魂成長のための最高の手段であり、最
短の歩みともなるのです。

 ですから、ご質問の中での知り合いの方の発言  「まず自分をつくり上げて、
はじめて道具になれる」というのは、一見筋が通っているかのように聞こえます
が、単なる観念論に過ぎないことが分かります。

どのような状態に至ったなら、自分をつくり上げたと言えるのでしょうか。その方
は、地上において人間が完成の域に達することができるとでも思っていらっしゃ
るのでしょうか。

現実の醜い自分の心と厳しく闘ったことがある人ならば、そうした観念的なこと
は口にできないはずです。

 「神の道具」として歩もうとすることは、まさに自分を高めつくり上げるための努
力なのです。未熟な人間がスムーズに自分をつくり上げる、最も自然で効果的
な方法なのです。

自分を成長させることだけに心がとらわれたり、自分の魂を高めようとやっきに
なると、結局、魂は成長させられません。それでは、どこまでも“自意識”の殻を
抜け出せないからです。

 それとは逆に、自分のことを忘れて(自分の魂の成長とか救いさえも忘れる
ほどに)、ただ人のために自分の全てを捧げたいという思いが心に湧きあがる
時、結果的に魂は成長しているのです。

「道具意識」とは、まさに自分のことを忘れ、人々のために自分の全てを捧げよ
うとする生き方なのです。

  

質問―2
 私はこれまで、「高橋信次先生」は釈迦の生まれ変わりだと思っておりまし
た。そして今でも毎朝、祈りの言葉「心行」を神棚に向かって上げています。し
かしニューズレターで先生についての記事を読んでから、「高橋信次先生像」が
混乱するようになりました。今後どのようにしていけばよいのか、アドバイスして
ください。

答え
 シルバーバーチは  「地上の特定の人間を信仰の対象としたり、誇大に評
価し帰依することは間違いである」と述べています。高橋信次氏が、霊力・人格
ともに優れた稀に見る人物であったことはニューズレターでも書いた通りです。
しかし高橋氏と言えども、あくまで地上の一人の人間に過ぎません。

 これまで絶対だと考え信じ切っていたものが崩れ始めることは、人生の足場
を根底から覆されるような出来事であり、大きな不安を引き起こすこになりま
す。その悩みがいかほど大きなものであるかは、人生の苦しい峠にさしかかっ
ておられるご本人でない限り、知ることはできません。

 しかし、それは霊的視点から見た時、より高い世界に飛躍するための、新し
い自分に生まれ変わるための“産みの苦しみ”であると言えます。その苦しみ
は、ご自身が、これまでの霊的レベルに満足できなくなったことを意味していま
す。

もし依然として、高橋信次氏こそ最高であるとの信念にとどまっているとするな
ら、ニューズレターの記事など気にもかけなかったはずです。示されたより高い
世界の価値が分かるということは、ご自分の霊性がすでにそのレベルにまで至
っているからなのです。

ニューズレターの内容にご自分の高い魂が引かれ、新しい光が差し込むように
なったのです。

 今後どのような道をとるかは、ご自身の責任において決意しなければなりませ
ん。そのためにはまず、スピリチュアリズムの真理(シルバーバーチの霊訓な
ど)を徹底して読まれることです。

そして、スピリチュアリズムこそ自分の歩むべき道であるとの確信が得られた時
は、その良心の声に勇気を持って従うべきです。スピリチュアリズムに対してま
だ納得できないというのであるなら、急いで結論を出そうとせず、さらに時間を
かけて霊訓を読まれることです。焦る必要はありません。じっくりと結論を出せ
ばよいのです。



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